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MFAサイトを回避する:パフォーマンス重視のモバイルによってブランドセーフティを確保する方法

Aimee Kessler Evans
8月 7日, 2024
A woman with gray hair, wearing a sleeveless white top, is smiling and using a smartphone. Digital elements such as icons and text overlays are superimposed around her, representing concepts of security, notifications, and media. The background includes indoor plants and soft lighting, creating a comfortable and focused atmosphere. This image illustrates the importance of performance and brand safety in mobile applications.

ウォール・ストリート・ジャーナル紙が、フォーブスが2024年初頭にMFAサイト(Made-for-Advertising、広告収益を得ることのみを目的としたWebサイト)でインベントリを販売していたと報道したとき、業界はそれがいかに大きな問題であるかを認識しました。従来のWebに費やされるプログラマティック広告費用のうち、推定で15%がMFAサイトに流れています。衝撃的なことに、場合によってはマーケターがこれらの資金を、手に入るはずのないプレミアムインベントリに割り当てていた可能性があります。

MFAサイトとは

ANA(全米広告主協会)の「プログラマティック・メディア・サプライチェーン透明性レポート」で、MFAの最もわかりやすい定義が述べられています。:

MFAサイトは一般的に、センセーショナルな見出し、クリックベイト、挑発的なコンテンツを用いて訪問者を惹きつけ、ページビューを稼ぎ、その結果としてサイト所有者に広告収益をもたらします。また、MFAサイトは通常、広告収益を最大化するために、質の低いコンテンツを掲載したり、ポップアップ広告、自動再生動画、煩わしい広告などを用いることもあります。

同レポートによると、21の広告主が350億以上のインプレッションに費やした1億2,300万ドルを追跡したところ、MFAサイトは全体インプレッションの21%、広告費用の15%を占めていました。

ANAは、MFAサイトを識別するための基準として次の点を挙げています。

  • コンテンツに対する広告の割合が高い(デスクトップで30%以上)
  • 広告の配置が素早く自動更新される(大量のバナーが頻繁に変わる、自動再生広告が多い)
  • ペイドトラフィックの割合が高く、オーガニックトラフィックが非常に少ない
  • 一般的なコンテンツ(編集されていない、またはテンプレート化された、低品質な、あるいは古いシンジケートコンテンツ)
  • 多くの場合、貧弱なデザインのテンプレート化されたWebサイト

MFAサイトが問題である理由

MFAの問題は、質の高いコンテンツよりも広告を多く配信する傾向があり、ユーザー体験を蔑ろにするという部分です。MFAは、キーワードを詰め込んだコンテンツでコンテクスチュアル広告による収益を得るアドウェアサイトに近い存在ですが、それよりもはるかに陰湿です。ビューアビリティやインプレッション数といった虚栄の指標では高いスコアを獲得するものの、一般的にコンバージョンに至らない低品質なトラフィックをもたらします。また、頻繁に更新される広告は、たとえ低いCPMで購入されたとしても、広告主のコストとなります。

さらに、これらのサイトはそのほとんどが低品質なコンテンツとユーザー体験を提供するため、ブランドセーフティを脅かす存在となっています。このようなサイトへのトラフィックは通常、ソーシャルメディア上のクリックベイト広告を経由して到達し、コンテンツ(正規のライセンスを持つものかもしれないし、または単に価値の低い、AIによって生成された、あるいはおそらく不快なコンテンツ)の存在感は広告に圧倒されてしまいます。価値の高いブランドは、当然、価値の低いコンテンツやネガティブな体験と関わりを持つのを避けたいと考えます。

さらに、MFAは、オンライン広告に対する信頼を損なわせます。MFAは、たとえプライベートマーケットプレイスであっても、回避することはほぼできません。最悪なのは、業界はこの問題に取り組むことにほとんど関心がなさそうだということです。

Digidayのレポートでは、MFAについて次のように述べられています。「かつてMFAインベントリを否定していたアドテックベンダーが、今ではMFAインベントリを受け入れるようになっており、このような偽のインプレッションの販売の急増につながっています。パブリッシャーもこの流れに便乗し、MFAのスペシャリストを雇って広告収益を最大化しています。さらに、MFAサイトは驚くほど低いコストでトラフィックを獲得することにますます長けてきていることから、この課題に拍車がかかっています。」

何より厄介なのは、これらのサイトは厳密には詐欺ではないため「違法」ではないにも関わらず、資金の浪費やブランドセーフティという点でブランドにとって脅威となるという点です。

ブランドセーフティとは

ブランドの評判を維持するには、非常に多くの時間と予算を投資しなければなりません。しかし、それにお金をかけることによって消費者が生涯顧客となり、ブランドの最新製品をいち早く手に入れる、あるいは毎年同じ製品を再注文するなどという、大きな価値のある見返りが得られます。

しかし、消費者心理は繊細であるため、ブランドは慎重に行動する必要があります。

ブランドセーフティは、ブランドの評判を守るための取り組みです。MFAでよく見られる、有害または不適切な文脈で表示される広告は、ブランドのイメージを損ない、消費者の信頼喪失とロイヤリティの低下につながる可能性があります。ブランドにとって、安全な広告環境を維持することは非常に重要です。

ブランドセーフティの一環として、イメージを損なうような文脈で広告が表示されないようにするための対策を講じるということがあります。これには、暴力、ヘイトスピーチ、フェイクニュースなどの不適切または有害なコンテンツの隣に広告が配置されないようにしたり、質の低い、または「スパム的な」環境に配置されるのを回避するといったことが含まれます。

数々の業界レポートがMFAの存在を指摘し、注意喚起しているにもかかわらず、この問題は伝統的な広告業界に根強く残っており、業界大手の企業が巻き込まれたり、世界有数のブランドが影響を受けたりしています。

モバイル広告でブランドセーフティを確保する方法

「従来の」デジタル広告とモバイル広告には、いくつかの重要な違いがあります。ひとつは、World Wide Webには厳しい公開基準がないことです。誰でもWebサイトを公開することができ、十分なトラフィックがあれば、広告を掲載して利益を得られます。さらに、多くのキャンペーン(特にブランディングキャンペーン)はファネル上部の指標を重要視するため、不正業者は不正をはたらいて簡単に逃れることができます。

対照的に、アプリ内広告はパフォーマンスに重点を置いているため、ブランドセーフティを維持するうえで、以下のような重要なメリットがあります。

  • AppleApp StoreGoogle Playには、アプリページに関する厳格なガイドラインがある:これらのガイドラインにより、アプリが安全で高品質なユーザー体験を提供することが保証され、広告主がブランドセーフな環境を維持するのに役立ちます。
  • モバイルアプリは評価やレビューに大きく依存している:過度な広告や押し付けがましい広告でユーザー体験の質を下げるアプリは、一般的に評価が低く、アプリストアから削除される可能性があります。反対に、好意的なレビューが寄せられ、ダウンロード率や継続率が高いアプリは、ランキング上位にランクし、より多くのユーザーを惹きつけます。このフィードバックループにより、モバイルエコシステムにおける高水準の品質と安全性を確保することができます。
  • モバイル広告では、ダウンロード数、売上、ユーザーエンゲージメントなどのパフォーマンス指標が重視される傾向があるものの、Webベースの広告では多くの場合、インプレッション数やクリック数でパフォーマンスを計測する:モバイル広告が重視するコンバージョン重視の目標では、当然ながら低品質または有害なコンテンツは除外されます。

さらに、従来のWebにおけるMFAは、プレミアムパブリッシャーや広告主に害を与える一方で、ドメインをライセンスするパブリッシャーから、サプライサイドやデマンドサイドのプラットフォームまで、エコシステム内の複数のプレーヤーに利益をもたらします。インプレッションが多ければ多いほど、これらのプレーヤーはより多くのお金を稼ぐことができます。

パフォーマンス重視のモバイルの世界では、このモデルを維持することができませんでした。モバイル広告主が求めているのは、虚栄の指標ではなく、ダウンロード数や売上です。特定のパブリッシャーやネットワークから投資対効果が得られない場合、広告主はよりパフォーマンスの高いネットワークやチャネルに予算を移すでしょう。

モバイルの世界にMFAはあるか?

アプリの世界にもMFAに相当するものは存在しますが、従来のWebほどMFAが浸透することはないと言えます。AppLovinのAlex Liは直近のAdExchangerの記事で次のように述べています:

MFAのようなアプリが成功していないのは、アプリがポジティブな体験を提供し、ユーザーに適切な広告を配信することで、アプリのパフォーマンスが向上するというモバイル業界周知の事実を反映しています。

パブリッシャーにとってもブランドにとっても、モバイルの計測基準となるのはパフォーマンスです。MFAは単純にブランドセーフティに対する脅威でしかないため、そのようなリスクを冒すパフォーマンスマーケターはいません。

MFAは、デジタル広告において引き続き懸念事項となっており、メディアの予算だけでなくブランドセーフティもリスクにさらしています。モバイル広告は、パフォーマンスベースの成功指標と、より優れたパブリッシングガイドラインによって、用心深いブランドに安全な環境を提供することができます。

不正なデジタル広告が自社の評判を傷つけるかもしれないと懸念しているブランドにとって、今こそアプリでモバイル広告を試すチャンスかもしれません。

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